
ジェンダーレス制服
初夏の日差しを感じる季節になりました。6月が始まります。
重い上着を脱いで、夏の制服に衣替えですね。
最近、近所の女子高校生が、スラックスを履いて登校しているのを見かけました。
「ジェンダーレス制服だ!」とついつい目で追ってしまいました。
その高校はもともと女子高でしたが、25年ほど前に段階的に共学に改編となった歴史のある学校です。これはちょうど私が中学生の頃で、受験生のほとんどが女子生徒の中、数少ない男子の受験生を「女子が多い学校に入るなんて、勇気があるなぁ。」と思った記憶があります。(今振り返ると、浅薄でお恥ずかしい限りです…。)
現在では男子生徒の数も増え、共学校のイメージがすっかり定着しました。
その高校が、市内で一番早く、今年度からジェンダーレス制服として女子制服のスラックスを採用したということに、時代と共に変化する「性差」を常に抱えて教育に携わってきた覚悟を感じました。
明治時代、政府は新しい教育制度を広めようと「学制」を交付しました。当初の就学率は低く、学校に通える生徒は限られていたそうですが、男女が同じ教室で学ぶ光景は先進的だったことでしょう。しかし、上級学校への進学となると、「女に教育は不要」という根強い偏見もあり、極めてごく一部の女子生徒しか進学の機会に恵まれなかった様です。
その後、戦後の義務教育の制度化により、男女隔てなく教育を受けることができるようになりましたが、学校内の仕組みや教科内容においても当然のように「男女差」がありました。入学募集人数の男女枠、名簿順は男子から、技術科は男子、家庭科は女子、体育の選択授業は男子が柔道、女子はダンス。制服もその中の一つで、男子はズボン、女子はスカート一択でした。
しかし次第に、その性差に疑問の声が上がり始め、学校教育における性差撤廃の動きが目立つようになりました。入学募集の男女枠撤廃、体操服の統一、そして1993年(平成5年)には家庭科の男女必修化が実施されたのです。
今から30年前です。
意外と最近の出来事だと思いませんか?
ここ数年、ジェンダーレス制服を導入する学校が増えていることは、長年にわたる教育と性差の不自由さを改善しようという大きな流れの一部だと私は思います。
私自身、スカートの制服や男女別の名簿や授業に違和感なく学生時代を過ごしてきました。どちらかというと、「女子だから」という選択肢を好んで受け入れていた気がします。
ランドセルは赤、女の子らしい服装や髪型が好きで、女子だから家庭科は良い成績でなければいけない、と思っていました。
しかし、ジェンダーレス制服を採用した高校、自分の意志で選んだ制服を着用している女子生徒の姿を見て、このなんとなく当たり前だと思っていた性差に関する考え方を改める必要があると強く感じました。
誰かの思い込みはもちろん、規則や慣習を変えることは、特に学校という枠の中では困難なことが多いと思いますが、この先、無意識の性差に悩む生徒が少なくなることを願っています。ジェンダーレス制服も更に多くの学校で採用され、「自分らしく」学校生活を送る事ができるようになるといいなと思います。
余談ですが…性別による無意識の思い込みを「アンコンシャス・バイアス」と言うそうです。
令和3年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究 | 内閣府男女共同参画局 (gender.go.jp)
ご参考にしてください^^