
サステナブルファッションについて考える
娘の通う小学校では、毎年この時期に蚕の幼虫を育てています。最初は怖がっていましたが、お世話をしているうちに不思議とかわいく思えてくるようです。今は蚕のために毎日新鮮な桑の葉を探し回っています。
そんな蚕の飼育に夢中になっている娘が先日、「繭から生地を作ってみたい!」と言い出したため、横浜にある「シルク博物館」を訪れてみました。日本は昭和の初めまで貿易の輸出品の多くが生糸で、1909年には中国を抜いて世界一の生糸輸出国になったそうです。私自身もシルクの歴史に関する理解が少し深まりました。
シルク博物館では、繭から糸を紡ぐ「糸くり」や「機織り」の体験ができます。実際に機織りを体験した娘は、糸から生地を作る大変さに驚いていました。他にも、シルクで作られている世界の民族衣装、季節に合わせた着物なども数多く展示され、かなり見応えがあります。
さて、今回は7月最初のスタッフブログとなりますが、今月はファッションについて少し考えてみたいと思います。
現代社会では、大量生産、大量消費、大量廃棄が問題となっていますよね。身近なこととしては食品問題が思い浮かびますが、アパレル業界でもまさにこの「服は使い捨てるもの」という感覚のファストファッション問題に悩まされています。
大量生産はコストが下がるというメリットがある一方で、売れなければ残りは廃棄されてしまうというデメリットも大きいです。廃棄物処分にはゴミ問題もありますし、処分の際に環境に負荷もかかります。生産段階の多くが途上国にあり、労働問題や人権問題なども抱えています。
これらは、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」などに大きく関わっており、アパレル企業としても課題解決に向けた取り組みを行っています。日本でもサステナブルなファッション産業への移行を目的とした団体が設立されています。
ただ、ここで私たちも考えなくてはなりません。果たして、作る側である企業だけがこのような課題解決に取り組むだけで良いのでしょうか。使う側である私たち消費者も様々な問題が存在すること十分に認識し、意識改革をしていく必要があるように思います。
原材料の調達から、生産、流通、使用、廃棄までの過程や、廃棄された後はどのようにリサイクルされるのかなどを、調べてみるのも良いかもしれません。
最近では、古着を上手にリメイクしてファッションを楽しむ人も増えていますよね。環境に配慮した素材を使った洋服を意識的に選ぶ人もいます。小さな取り組みではありますが、このような心掛けをする人が増えていくとうれしいですね。
お手軽にファストファッションを楽しめるようになった今こそ、自分だけのサステナブルファッションを見出し楽しんでみませんか。娘の機織り体験も、そのようなことを考えるきっかけのひとつになったらいいなと思います。
消費者庁「サステナブルファッション習慣のすすめ」
一般財団法人 シルクセンター国際貿易観光会館「シルク博物館」