花火はなぜ「夏」の風物詩なのか?

 日本の夏の行事といえば花火大会。みなさん、この夏は花火を楽しまれたのでしょうか?残念ながら墨田川花火大会は今年も中止となり、その他、各地の花火大会も中止が相次ぎましたね。家庭で楽しむ手持ち花火も風情があり素敵ですが、打ち上げ花火の大迫力もすごいですよね。花火の音を聞いているだけでもワクワクしてきます。

 ところで、「花火は夏の風物詩」と書きましたが、なぜ花火は「夏」の風物詩なのか不思議に思ったことはありませんか?日本でも熱海など冬に花火大会を開催するところもありますし、夏ではないと開催できないわけではなさそうです。むしろ、冬の澄み切った空気の中での打ち上げ花火の方がきれいに見えそうな気さえしますよね。

日本での最初の花火は、江戸時代に現在の東京都両国で始まりました。疫病や飢饉などで亡くなった方々を慰めるために花火を打ち上げる「鎮魂」の意味があり、迎え火や送り火、灯篭流しなどと同じような意味合いがあったそうです。その関係で、日本では花火を夏の時期に行うようになった、という説があります。

また、昔は幕府によって「川の近くなら花火をしてもよい」と決められていたそうで、夏の暑い時期に川の近くで納涼するついでに花火もやるようになった、という説もあるようです。

一方、海外ではどうでしょうか。花火大会が夏に開催されるのは日本独自の風習で、海外ではさまざまな季節に花火が打ち上げられています。ヨーロッパでは、キリスト教の聖人のお祭りなどお祝い、近年では、庭園やエッフェル塔などのライトアップを兼ねた花火が打ち上げられています。日本と違って海外では、「お祝い」の意味で花火を打ち上げることが多いようですね。

日本では夏の風物詩の花火ですが、海外では夏に限定されたものではないのですね。花火に込められた思いも、日本と海外では大きな違いがあることに気づかされました。

また、手持ち花火は海外にもあると思いますか?手持ち花火自体は存在するのですが、多くの国で、許可制または禁止されているそうです。手持ち花火をやると違法になってしまうのですね。

花火一つをとっても海外では事情が異なることがわかりました。花火が夏の風物詩であるのは、日本だけなのですね。「夏の花火」は日本の誇れる伝統の一つであると同時に、だれもが気軽に楽しめる文化。一つの行事を海外と比較するだけでも、他の国との様々な違いや他の国の文化を知ることができるのではないでしょうか。みなさんも気になる行事があれば、海外での事情を調べて比較してみるのも良いかもしれませんね。