
グッズを揃えるだけじゃない!防災術
早いもので、もう9月になりましたね。
長いお休みが終わり、学生のみなさんは夏休みの終わりに絶望し、保護者のみなさんは学校の始まりにほっとするといったところでしょうか・・・・?
暑いながらも8月から暦も変わり、秋を連想させる9月、その初日の9月1日は防災の日でもあります。
1923年のこの日に関東大震災が起こり、日本は未曽有の大被害を受けました。その惨事を教訓として防災意識を高めるために、毎年各地で防災訓練などが実施されています。皆さんの中にも、ご家庭で防災グッズの点検や避難経路の確認などを行った方がいらっしゃるのではないでしょうか。拙宅でも、有事の際はどうするかを家族で話し合ったりしました。
ところで、私は自然の中で過ごすことが好きで、キャンプを10年ほど前からやっています。キャンプと一口に言ってもいろいろなやり方がありますが、近ごろ興味を持っているのは「ブッシュクラフト」というスタイルです。
「ブッシュクラフト」とは、ブッシュ(森での)+クラフト(技術)の名の通り、最低限の道具(ナイフ、火打石、斧など)のみ用い、自然にある木や石などを調達して行うアウトドアです。先人たちが大自然と共存していたことを思い出させてくれるような古くて新しいスタイルである一方で、この技術は防災サバイバル術としても非常に有効であると話題になっています。その一つの例として、アウトドア専門家・三浦靖司さんの取組を紹介したいと思います。
三浦さんは過去の阪神淡路大震災の経験から、災害は自分の周りの生活環境を一瞬で変える恐ろしいものだと改めて感じたそうです。普段何気なく使っている水・火・電気・ガス・食料といったものが突然無くなってしまう状況の大変さ、更にその中でも家族の居住スペース(特に女性の着替え)やトイレの確保の重要性をどう伝えるか・解決するかという観点から、ご自身のアウトドア術が活きるとの考えに至ったそうです。
例えばブッシュクラフトの技術は、ナイフと木だけで火起こししたり、少ない水で鍋を洗ったり、1つの道具を複数の使い方に応用したり、さまざまな場面に生きてきます。三浦さんは、そのような技術を「災害から自分と仲間を守る防災サバイバル術」などと題したセミナーで多くの子どもや大人に発信し続けています。
三浦さんの取組を聞くと、日常のライフライン・農業・治療・教育・出産・移動など、生きるうえで欠かせない事項を全て外注している自分は、有事の際にいったい何ができるのだろう?と深く考え込んでしまいます。プロにお任せしている方が安心だと、自分の能力や知識を磨くことをあらゆる面で怠っているのではないかという羞恥を覚えます。
次の関東大震災はいつ起こってもおかしくないと言われています。災害下で自分や仲間を守るために、生きるための基本的な術と、そのような知識や経験に裏打ちされたパニックにならない強い心を身につけたいと切に願います。