
アフターコロナのスポーツについて
プロ野球日本シリーズ2022の優勝が決まった昨夜。
優勝が決まった瞬間にマウンドに駆け出すノーマスクの選手、集まったチームメンバーに高く胴上げされる監督、歓喜に盛り上がる満席の観客席、晴れやかな笑顔が溢れるビールかけの映像を見て、コロナ禍を経て馴染みの光景が戻ってきたな、としみじみと思いました。
新型コロナウイルスは、スポーツ界にも大きな影響を及ぼしました。
練習や試合が中止となったのはプロスポーツだけではなく、地域のスポーツクラブや部活動はもちろん、学校の体育の授業でも制限のある日々が続きました。海外遠征も難しく、世界を目指す選手にとってはもどかしい日々だったと思います。選手の励みになる応援も控えることが求められ、無観客試合、声援禁止等の条件付きの観覧しかできませんでした。また、当初、感染者が続いたことで、スポーツジムの利用者が大幅に減った時期がありました。スポーツ施設の経営が厳しいという報道を目にする機会も多かったですね。運動不足による体力低下問題も目立ったように思います。
そして、このコロナ禍において、東京オリンピックと北京オリンピックが開催されましたが、どちらも厳戒態勢で選手と関係者の健康が優先されていました。選手団の派遣を縮小したり、直前に陽性反応が出て出場ができず悔しい思いをした選手もいたと思います。
事例を挙げるときりがないくらい、スポーツに関わる様々な状況や環境がコロナ禍で大きな影響を受けました。
しかし、残念な事ばかりではなかったと思います。
困難な状況下でこそ、沢山の工夫や技術が駆使され、スポーツを楽しもうという人々の熱意が奮起されたと思います。
有名スポーツ選手のトレーニング動画の配信や、エクササイズやヨガのオンラインレッスンが充実し、自宅で何時でも気軽に体を動かすことができるようになりました。人数制限があると、混雑の心配なく練習や観覧をすることができ、静かで集中できると感じる機会もあったと思います。時間制限があると、効率が良く動くにはどうしたらよいのかと工夫するようになりますよね。利用者が協力して除菌や清掃に努めることで、施設がきれいに保たれているなと気付くこともありました。新しいスポーツ観戦方法のひとつとしてVR技術を利用した仕組みが大幅に躍進しました。まるで試合会場にいるような臨場感を楽しめるとして、注目が集まっています。
ますます新しいスポーツの仕組みが発展していくだろうと期待は高まる一方で、今まさに、スポーツに関わる様々な規制緩和が始まっています。
個人的な意見ですが、「前と同じ」に戻すことにも、メリットとデメリットがあると思います。ノーマスクでの運動や、声援を送って選手を応援することはやはり嬉しいことです。人出が増えることで施設やプロスポーツチームの経営状態が改善することも考えられます。しかし、引き続き衛生状態に配慮することは、自分を含めて関わる人たちの健康状態のためには必要なことだと思います。人数制限がなく、多くの人が殺到することで、予期せぬ事故が起こる可能性もあります。充実したオンラインのスポーツに関するサービスが停滞したり希薄になることで、不便に感じることがあるかもしれません。運動不足のまま、なかなか体調が優れない人をどうやって手助けするのか、検討する必要もあるでしょう。
コロナ禍を経て、またスポーツを取り巻く環境が大きく変わろうとしています。
体育系の大学を目指す生徒さんは、今だからこそ、今後のスポーツに関わる状況、アフターコロナのスポーツ界の展望についてしっかりと一考することをお勧めします。諸問題に関して事例を調べたり、実際に自分が関わるスポーツチームを客観的に捉えて問題点を明らかにしても良いと思います。スポーツを学問的な視点で考え、深く探求してみましょう。