七五三から考える地域文化

七五三の季節になりました。お着物を着てうれしそうに歩くお子さんを見かけると、こちらも微笑ましい気持ちになりますよね。

さて、最近、男の子は「3歳と5歳」で七五三を行うことが増えてきたように思います。みなさんのまわりではいかがでしょうか?わたしの住む地域では、男の子は「5歳の1回だけ」というのが一般でした。

調べてみると、実はこれは地域によって異なることが多く、東日本では「5歳に1回」、西日本では「3歳・5歳の2回」という傾向が強いようです。関西と関東では文化が異なるように、実は、七五三も関西と関東では、七五三を行う回数の他にも色々と勝手が違っています。

七五三という行事が始まったのは江戸時代の関東。現在では「七五三」は1つの行事だと捉えられていますが、昔は3歳、5歳、7歳に行うそれぞれ別の儀礼がありました。3歳は髪を伸ばす「髪置(かみおき)」、5歳は初めて袴をつける「袴着(はかまぎ)」、7歳は、それまでの紐付きの着物に代わって本仕立ての着物と丸帯という大人の装いをする「帯解(おびとき)・紐落(ひもおとし)」という儀礼です。この3つを合わせて「七五三」と呼ぶようになったと言われます。

関東から関西に広まったのは昭和の時代になってから。したがって、七五三は関東の方がより力を入れて盛大に行うことが多いようです。わたしは自分の住む地域以外の七五三を見聞きしたことがないので、実際のところはわかりませんが、みなさんの地域ではいかがでしょうか。

そして、七五三と言えば11月15日頃に行われることが多いですが、例えば北海道や東北地方等の寒冷地域では、11月15日では既に寒さが厳しくなっています。着物や袴姿で屋外に出るには寒すぎるということで、10月に行われることも珍しくありません。

また、福岡では、大人が下着として身に付けるふんどしを初めて着る「ひもとき」「へこかき」(少年)「ゆもじかき」(少女)等の儀を行うという地域もあります。各地域ごとにさまざまな特色があるのも興味深いところです。

少し話は変わりますが、現在、文部科学省では、地域の「文化力」をいかに結集するかを課題に地域文化の振興に取り組んでいます。各地域によりそれぞれの歴史や文化の実情を踏まえ、地域における様々な方面の活動に生かしていこうという取り組みです。

七五三に関しても、日本各地でその地域の独自の文化があることに気づかされる一例ですよね。伝統的な行事や祭りなどは地域住民にとってはいつも周囲にあり見慣れているものだけに、そのすばらしさや価値が見落とされていることもあるでしょう。地域に昔から伝わる文化も、地域外の人々の視点からみるとその歴史性や地域性あるいは独創性が目新しいものに感じることもあるのです。

このように考えると、自分の地域の特色ある文化を見直すと共に、日本各地の文化にも目を向けていくことが地域文化の振興に繋がっていくように感じました。