生き抜く力を身につける学び

東です。最近よく耳にする新学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」ですが、これを保育園でも、保育所保育指針にある「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を目指すにあたって、取り入れていくという話をきき驚きました。(※10の姿「健康な心と身体」「自立心」「協同性」「道徳性・規範意識の芽生え」「社会生活との関わり」「思考力の芽生え」「自然との関わり・生命尊重」「数量・図形、標識や文字などへの関心・感覚」「言葉による伝え合い」「豊かな感性と表現」)なぜならば、小学校、中学校、高校であると、各教科においてとなり想像できるようにも感じますが、乳幼児期となると、遊びや生活を主とした様々な体験から見方、考え方が育まれるため、保育の現場に取り入れることが容易ではないように感じたからです。実際には、どのようにしていくのかという段階であり、声かけ、介入によってどのように発展させていくのか、子どもたちとの関わり方を改めて見直していくということになるようです。このような方向性は、乳幼児期という生涯に渡る人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期において、当然であるとも考えられます。また、小学校入学前からであれば習慣化するということで良いようにも感じます。そこで、参考までに保育園においての各学びの内容を示します。

主体的な学び

子どもが自ら「やってみたい」という意欲をもち、先の見通しや展開を考えたり、振り返りをしながら、遊びと生活をより展開させていく。

対話的な学び

自分の思いや考えを表現し、伝え合ったり、考えを出し合ったり、協力したりして自らの考えを広げ深める。

深い学び

直接的・間接的な体験の中で、見方や考え方を働かせて対象と関わって心を動かし、試行錯誤を繰り返し、生活を意味あるものとして捉える。

こちらを読むと、乳幼児期での取り入れ方が想像できるように思います。これからの時代を生き抜く力となる「主体的・対話的で深い学び」は、乳幼児期からでも育む必要があるというのも納得できるようにも感じます。そして、その先をいく学校では、以下のように示されています。

主体的な学び

学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次に繋げる。

対話的な学び

子ども同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広め深める。

深い学び

習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり問題を見出して解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう。

乳幼児期のものは、日常的に取り入れることも可能に思われますが、こちらは学習においてという、より発展したイメージがありますね。そして、新学習指導要領では「子どもたち一人一人が、予測できない変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である。」としています。そのために偏りなく実現していく、以下の3本柱が必要となってきます。

・生きて働く「知識・技能」の習得

・未知の状況に対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成

・学びを人生や社会に活かそうとする「学びに向かう力・人間性」の育成

「未知の社会を生き抜く力を育む教育」とも言われる「主体的・対話的で深い学び」は、学力だけでなく、意欲、社会性、対応力、表現力などが重視される総合型選抜(旧AO入試)においても、活かされる学びであるように思われます。「どのような視点で物事を捉え、どのような考え方で思考していくのか」「答えの決まっていない課題、経験したことのない未知の事象にも対応できる課題解決をどのように行っていくのか」進路、将来についても踏まえ、改めて考えを巡らしてみるのも良いでしょう。