「英語民間試験」に物思う
こんにちは、高山です。以前にこちらでも書かせていただいた「英語民間試験」が先送りになりましたね。私はあまりテレビを見ないので、どの程度の報道があったのか把握できていませんが、個人的な印象としては、この問題について割と世間では騒がれていないという印象を受けています。確かに、大学入試に全く関係性が無い世代、年齢層も多いですからそういうものなのかもしれません。しかしながら全国の大学受験生の数を考えると非常に大きな問題であるのに、こんなに世間はあっさりとしているのか…と思わずにはいられませんでした。
そもそも、英語民間試験導入の発端は日本人の英語の話せなさを問題視することからであったと思います。日本人は英語を話せない→それは大学入試でスピーキング試験がないから→だから中高でもスピーキングに重点が置かれない→だったら入試を変えれば学び方も変わっていくだろう…スタートはそのような感じであったように記憶しています。しかし、センター試験のように数十万人の一斉テストでスピーキングテストを行うことは難しいため、当初はスピーキング試験を外部委託するという案が検討されていました。それでは民間の業者からしたら、採算が合わないため、結果としてスピーキングにプラスしてライティングもセットでの外部委託であればということでまとまった、それが英語民間試験導入であったと思います。
そして、8種類の民間英語試験が採用され、2021年度からの4年間は英語共通テストも並行して実施、民間英語試験への完全移行は2024年からという予定が組まれていました。しかし、TOEICの撤退、国立大学の中には民間試験を採用しない、合否判定には活用しないところも出てきました。高校長の連合会は見送りを文科省に要請、一方で私立高校を中心とした団体は継続を希望するなどの、多方面において足並みの揃わなさが問題として挙がっていたのも事実です。今回の見送りにおいては、文部科学大臣の「身の丈発言」も大きく影響していると思いますが、ではこの発言がもしも無かったら、今回の見送りは果たしてされていたのかという疑問も生じます。少なくとも、この発言が問題視されたことを通じて、スルーされていた英語の民間試験にまつわる様々な問題が改めて注目されたと言えるのではないでしょうか?
この民間試験、私も調べて行けば調べていくほどに疑問は増えるばかりで、これが本当に実施されるのかと思っていましたので、ある面においては中止になってよかったという気持ちもあります。大人たちが決めたことで、一生の問題ともなりえる大学受験に挑む学生たちが翻弄されるという事実はなんとも残念としか言えない、情けない事です。提示された条件に対して努力するしかない受験生の立場からしたら、実際、迷惑極まりないことであると思います。現在、文部科学省では英語試験についての詳細を白紙から検討し直すとしています。大学入試自体が多様化する中、5年後はどのような改革が実施されるのでしょうか?今度こそ、整った状態で、皆が納得するスタートをさせてほしいと願うばかりです。