総合型選抜に向けて日常を意識する
東です。前々回、「伝わるように心がける」ということをお話ししたかと思います。しかし、日常を思い起こしてみると、相反したことがあることに改めて実感し驚きました。例えば、よく家族や友人など親しい間柄で、「それ、とって!」「あれは、どこ?」というような言葉が飛び交い、通じてしまうということが多々あります。また究極は、「あ!」のみで、乳児が、母親に伝えてしまうという場合です。いずれも、これだけで理解しろというのは、第三者であれば当然難しいのですが、これが不思議なもので日常的に接していると、何を要求しているのか、ほぼ検討できるようになります。しかし、この「あ!」で通じてしまうと、言葉を覚えるのが遅れてしまうということもあります。また、「それ、あれ」で済ませてしまうのも如何なものかと思います。言語発達の為にも、既に覚えている事柄の物忘れ予防の為にも、できれば常日頃から、言葉や文章に気を付けて話す癖をつけることは、先々の将来を考えた上で大切になってくるのではないでしょうか?
そして、「伝わる」ということが鍵となってくる時代へとなっていく訳です。2020年教育改革に伴い、大学入学者選抜も、以下の「学力の3要素」について多面的・総合的に評価する入試に転換されることとなります。
1.知識・技能
2.思考力・判断力・表現力
3.主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
そして、これらの学力の3要素を踏まえ、大学入試も見直されてきており、名称も以下のように変わります。
「AO入試」→「総合型選抜」
「推薦入試」→「学校推薦型選抜」
「一般入試」→「一般選抜」
なかでも、志願者の能力をより多面的に図る総合型選抜の選抜方法は、多岐に渡っています。
●調査書等の出願書類だけでなく、以下のA、Bの少なくてもいずれか一つの活用を必須化することとしています。
A.各大学が実施する評価方法等
例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係わるテスト、資格・検定試験の成績等
B.大学入学共通テスト
●志望者本人の記載する資料を積極的に活用することとしています。
例:活動報告書、入学希望理由書、学修計画書等
いずれにしても、相手が正確に理解できるよう根拠に基づいて論述することが求められるのではないでしょうか。そのことも踏まえ、さらに自分自身の志望先に関する選抜方法を十分に調べ、対策を練る必要があるでしょう。
冒頭は極端な例ではありますが、親しい間柄では伝わる表現も、第三者に対しては伝わらないということが想像できるかと思います。まさに大学入学者選抜の際には、第三者に対してということになります。気持ちや状況を共有していない第三者に、正確に伝わる表現を工夫できるようにすることが必要です。また、主観で自分が見たこと、したことをそのまま文や言葉にしても背景知識や状況を共有していない第三者には伝わりません。意識を主観から客観へと変え、述べられるようになるとよいでしょう。
最近では、写真や動画が多用され、言葉で表現しなくても目で見た情報から理解してしまうケースも多くなりました。ぜひ、それを言葉で伝わるように表現してみてください。伝えたいものがより伝わるようにするには、どのような表現が良いのか工夫もできるようになっていくでしょう。そして改めて、日常の会話から見直されてみるのもよいかもしれませんね。いざ入試の為にでは、なかなか難しいものです。常日頃から、意識する積み重ねが大切であるかと思います。