コミュニケーションとは
東です。志望理由書の添削の際に、「大学でコミュニケーション能力を高めたい」と書かれている答案を目にすることがあります。どの程度のコミュニケーション能力を求めているのか定かではありませんが、恐らくこれからの時代、大切だということが、頭にあるがゆえに取り上げられているのかもしれません。そして、どのような将来を選んだとしても、多かれ少なかれ、必要になってくるということの想像がつくということでしょう。いずれにしても、程度の差こそあれ、年を重ね、様々な人と関わり、共に経験をしていくことでも、高められるものでもあるかと思います。
そもそも、初めてのコミュニケーションはいつ頃だったのでしょう?自我が芽生え、他者の自我とぶつかり合いながら折り合いをつけていくということになる1、2歳の頃になるかと思います。他者が持っている物をほしいと思って取ろうとする様子を見かけると、自我が芽生えたのだなとなります。そこで「貸して」「いいよ」、「どうぞ」「ありがとう」などの折り合いをつける方法ということになるかと思います。要は、自分の要求と他者の要求を比較して、選択し始めるのです。これは自立への一歩でもあります。このようなことから始まったコミュニケーションは、幼い頃から試行錯誤の連続でしょう。もちろん年齢を重ねていくとさらに複雑になってくることは、皆さんもお分かりかと思います。生きていく上で他者と関わらずにすむことはないですから、様々な関わりを経験する中で、学習を重ねていることと思われます。
また、2020年教育改革の大きな変化の一つとして「アクティブ・ラーニングの重視」があります。「主体的、対話的深い学び」と表現されているように、教員が児童、生徒、学生に知識を伝達する場ではなく、子どもたちが能動的に学ぶ授業が求められています。問題解決学習、調べ学習、グループワークなど、既に取り組んでいる学校も多くありますが、教員と子どもたち双方向のコミュニケーションを取りながら自らの学びを深めていく授業が一層広がっていくでしょう。これらもコミュニケーション能力を育む要素となるでしょう。
それでもなお「大学でコミュニケーション能力を高めたい」となると、どうなのでしょう?いずれにしても、研究機関である大学を志望先として選択したのですから、大前提は、志望先においての学び、研究であるかと思います。あくまでも大前提ありきのプラスアルファと考えることが望ましいでしょう。
そこで、参考までに社会人に求められるコミュニケーション能力を挙げてみましょう。
●自分の話(提案、考えなど)を過不足なく円滑に他人に伝えられる能力
●他人の話(意見、要望、指示など)を正確に理解できる能力
●他人との交流の際に、解釈のズレや意見の相違が生じた時、それを素早く察知し、調整していける能力
これら3つの能力は、ディベート(討論)で勝つための訓練をしていくと磨かれるようです。ディベートは、先程の教育改革でも取り上げたアクティブ・ラーニングの学習手法の1つでもあり、近年の大学ではカリキュラムとして取り入れられていることも多く、授業やゼミ活動の一環として行われているところもあるようです。さらにコミュニケーション能力を高めることを考えられているのであれば、このような要素も調べてみるとよいかもしれません。
単に「コミュニケーション能力を高めたい」ではなく、どの程度を求めているのか、どのように生かすためであるかをもう一度考え、十分に調べ、様々な要素を考慮の上検討し、あなたの将来に合致した志望先を選択できるとよいでしょう。