「曖昧」「漠然」に気をつけましょう!

東です。先日、3歳児達が「シンカリオン」という言葉を口々に言っていました。そこで、一体どのようなものか聞いてみたところ、「大きくて、強くて、かっこいい。」と説明してくれました。しかし、残念ながら私には全く想像できず、この漠然とした説明からは「シンカリオン」が、どのようなものなのか、まるで見当がつきませんでした。後から調べましたが、「新幹線変形ロボ・シンカリオン」とありました。これで少しはイメージができました。もちろん、具体的に説明を加えるとさらに分かり易くなるでしょう。

先述のものは、幼児の説明であったため、極端な例であるかもしれませんが、こうした理解に苦しむ漠然とした文章を答案の中で割と多く見かけます。本人は、このような物、このような経験という具体的なイメージが頭の中にあって述べるため、これで良いと思い込んでいます。しかし、果たしてどうでしょう?読み手に、同じイメージや情報などが頭に浮かぶでしょうか?なかなか難しいでしょう。ゆえに、読み手の立場に立って、意味の通る文章を検討する必要があるかと思われます。前回、お話しした「文章のねじれを防ぐ方法」において、「主語・述語の対応を確認する」などは、意味の通る文章を書く上で基本です。さらに、書き手の意思が伝わるよう、読み手の立場に立って書くことが大切です。中でも曖昧な表現は、読み手がどのように受け取ってよいか理解に苦しむことになります。以下に、ある書籍にあった作文例を挙げます。

「まず親が自らをみつめ、それがどういうことなのかを、子どもに示さなくてはなりません。」

一見、良さそうに思われる方も多いのではないでしょうか?しかし、曖昧な表現があることに気づきませんか?そのため、何を訴えようとしているのか、よくわからない文章になっていないでしょうか?正にこのような文章を答案で見かけます。

「まず親が自らの言動を振り返り、誤っていないことを子どもたちに示さなくてはなりません。」

こちらはどうでしょう?「親が自らをみつめ」では、何をみつめるのか、「子どもたちに示す」とは、いったいどのようなことなのか、多少は具体的になったのではないでしょうか?要は、親たちが自らの言っていることや行動に誤りがないかどうかを確かめ、もし正しいと思ったら、子どもたちに示すべきであるということでしょう。

こうした曖昧な表現は、掘り下げて具体的に書くよう心がけたいものです。自身の訴えたいものが素晴らしいものであっても、読み手に伝わらない文章は大変残念です。自身で気づくことが難しい場合は友人や家族などに読んでもらい「ここがわからない」という箇所を「よくわかる」というまで書き直すのも一つの練習方法かもしれません。そして、具体的に書くにあたっては、自分の周囲の出来事や世の中の動きについて、常に観察し、考えを巡らしておくことも大切になるでしょう。

あなたの経験や考えが、曖昧なもの、漠然としたものから、具体的なものへとなるよう、常日頃から心がけてみましょう。