『毎月新聞』を読んで

こんにちは、小木曽です。今回は、佐藤雅彦著『毎月新聞』(毎日新聞社)を紹介します。

書籍紹介の前に、著者である佐藤雅彦氏についても紹介させていただきます。現在は、東京芸術大学大学院映像研究科教授を務められています。私の認識では、慶應義塾大学環境情報学部教授を務められる傍ら、NHK教育『ピタゴラスイッチ』の監修に携わっているということになっていたのです。しかし、時は流れ、佐藤氏の肩書も変わっていました。

『毎月新聞』の奥付を確認したところ、2003年3月が初版です。14年も前に出版されていす。

それよりも更に前、佐藤氏は、湖池屋の「スコーン」、「ポリンキー」、「ドンタコス」や、NECの「バザールでござーる」など、様々なヒットCMを企画したCMプランナーとして活躍されていました。

さて、『毎月新聞』についてです。かわいいイラストや3コマ漫画のケロパキも掲載されているコラム集です。短くまとめられているので、学校や塾などへの移動時間にひとつずつ読むのに最適かもしれません。

巻頭は、「じゃないですか禁止令」です。最近ではほとんど聞かれなくなった表現ですが、自身の意見を述べるべき場面で「~じゃないですか」と「~」の部分を既成事実であるかのように伝えます。相手を説得しなくても同意が得られたかのように会話を進められ、しかも、なぜその意見に達したのかを説明する必要もありません。便利です。しかし、そうなると理由について考えることもしなくなってしまいますね。

だから、「じゃないですか禁止」というのは、私の考え方です。

そうではなく、佐藤氏はこうした表現をするときに「発言に責任を持ちたくない」という心理が潜んでいるのではないかと考えます。その発言が与える影響について考えるのではなく、その発言が生まれる原因について考えられているのです。まるで、普段見ることのできない裏側から物事を覗かせてもらったようです。

読み進めていくとさまざまな視点に出会うことができ、考えることの面白さを伝えてくれます。このほかにもたくさんの著書や共著がありますので、探してみてくださいね。

『プチ哲学』(マガジンハウス)

『ねっとのおやつ』(マガジンハウス)

竹中平蔵氏との共著『経済ってそういうことだったのか会議』(日本経済新聞社)

慶應義塾大学佐藤雅彦研究室との共著『任意の点P』(美術出版社)など