慶應義塾大学のAO入試の傾向と対策
【AO入試・FIT入試・推薦入試】
日本で最初にAO入試を取り入れた大学は、高い偏差値で有名な慶應義塾大学です。特に私立大学法学部の中においては偏差値最高峰の地位を誇り、そのレベルの高さは東京大学の文化一類と同等。しかしAO入試の倍率は「約3倍程度」と以外にも低い数字となっています。
そのため、一般入試では学力的に厳しいからという理由でAO入試を受験する学生もいるようですが、決してAO入試が簡単で入りやすいということではありません。倍率こそ低めですが、実際に、AO入試で入学した学生の方が成績良好であるという見解もあり、審査基準の難易度が高いことは言うまでもありません。
ただ、学校が求める学生像に受験者の個性・適正などを含めた人物像が合っている場合は、AO入試の方が一般の入試よりもより適しているケースも当然あるでしょう。そこで、慶応義塾大学への入学を希望されている学生の皆様に、各学部OA入試の詳細についてまとめてみました。ぜひ、参考になさってください。
※なお、正確な日程や概要の詳細は、毎年5月上旬に発表されています
【AO入試を行っている学部一覧】
・法学部FIT入試
・理工学部 AO入試
・SFC (総合政策学部・環境情報学部)AO入試
・文学部 自己推薦入試
・看護医療学部 AO入試
■慶應義塾大学 法学部 AO入試(FIT入試)
*出願資格
<A方式>
いろいろな活動に対する積極的な姿勢が評価されたことのある人であれば、出願資格を得ることができます。たとえば、文化・芸術・技芸・運動などにおいてよい成績や成果を残したことがある人や、課外活動などでリーダーシップを多いに発揮できたことを証明できる人、ボランティア活動などに熱心に取り組んだ人、学業で極めて優秀な成績を残した人などが対象となるため、ほぼ全ての受験生・浪人生がA方式での出願が可能。
このように明確な規定がないので、志望理由書や志願者調書での自己PRが合格のカギとなります。将来どうしたいのか、社会でどんなふうに活躍したいのかなどのビジョンを明確にし、それを表現できるように日頃から準備しておきましょう。
<B方式>
B方式の場合はA方式とは違い、高校での一定の学業成績(評定)が求められます。外国語、数学、国語、地理歴史、公民の5教科の平均、さらに全体の評定平均値が4.0以上であることが出願の前提となりますが、その分倍率がA方式に比べ低くなります。出願資格を満たす場合は是非チャレンジすることをお薦めします。
*スケジュール / ( )内は2017年度実績
1.出願2017年度実績
8月下旬(2016年8月24日~8月26日)
2.第1次選考合格発表
9月上旬(2016年9月9日)
3.第2次選考
A方式:9月中旬(2016年9月17日)
B方式:9月中旬(2016年9月18日)
4.第2次選考合格発表
9月下旬(2016年9月27日)
5.入学手続期間
12月上旬(2016年12月5日~12月9日)
*難易度(2017年度)
全学科:約3.7倍
*傾向と対策
A方式は一次試験が書類選考、二次試験が論述力、考察力の試験とグループディスカッション。B方式は一次試験が書類選考、二次試験が論述力、考察力の試験と個人面接。現時点の学力はもちろん必要ですが、それ以上に、ビジョンや意欲を重視した選考が行われます。
志望理由書などで自分のビジョンを明確し、魅力を最大限に表現することはもちろん、面接、グループディスカッションなどにおけるわかりやすい伝え方、話し方(癖や弱点など)などを身につけておくことが大切です。
■慶應義塾大学 理工学部 AO入試
*出願資格
理工学部の場合、高校時代に「科学技術」や「課外活動(文科系・運動系いずれも可)」などにおいて世界的・全国的なレベルで高い評価を得ていることが必要であり、さらに学業成績も一定のレベルが求められます。
全教科の全体の評定平均値が4.1(小数点以下第2位を四捨五入)以上、さらに数学・理科の分野における評定が全て4以上である必要がありますが、倍率はそれほど高くなく3倍程度です。そのため、高校時代にまじめに勉強に取り組みこれらの評定を満たしている人であれば、ぜひAO入試でのチャレンジをおすすめします。
*スケジュール / ( )内は2017年度の日程
1.出願2017年度実績
10月中旬(2016年10月11日~10月14日)
2.第1次選考合格発表
10月下旬(2016年10月28日)
3.第2次選考
12月上旬(2016年12月4日)
4.最終合格発表
12月上旬(2016年12月9日)
*難易度(2017年度)
全学科:約3.0倍
*傾向と対策
書類については、志望理由書、および入学志願者調書が重要視されますので、志望理由や入学後に学びたい分野などについて明確にし、これまでに活動した実績などをわかりやすく表現できる力が求められます。
また、面接では口頭試問(数学・物理・化学)がありますので、落ち着いて的確に答える技術を身につけておきましょう。
■慶應義塾大学 SFC(総合政策学部・環境情報学部)AO入試
*出願資格
学業やスポーツ、芸術などの幅広い分野の中で何らかの評価を得ている、外国語もしくはコンピュータの資格を持っている、ボランティア活動などで成果が認められているなどの要件を満たしていれば資格を与えられるのがSFC。多くの人が受験資格を得ることができるため、他の学部(AO入試)に比べ倍率が高くなっています。
しかし、一般入試で受験する場合、総合政策学部の倍率は7.0、環境情報学部は6.5です。AO入試ならそれよりもはるかに低い倍率での受験が可能なため、高校時代に自分の得意分野で何らかの実績を残せるよう活動しましょう。
*スケジュール(4月Ⅰ期は以下を参照)・( )内は2017年度実績
<4月Ⅰ期>
1.出願2017年度実績
郵送:8月上旬(2016年8月1日~8月4日)/Web入力:8月3日15:00
2.第1次選考合格発表
9月下旬(2016年9月23日)
3.第2次選考
総合政策学部全学科:10月上旬(2016年10月1日)
環境情報学部全学科:10月上旬(2016年10月2日)
4.第2次選考合格発表
10月上旬(2016年10月3日)
*難易度
総合政策学部:5.0倍
環境情報学部:3.8倍
*傾向と対策
SFCは新しい「知」の再編成と創造をめざしており、豊かな発想と広い視野で問題を捉え自ら学び解決する「問題発見解決型」「創造性開発型」の教育を重視しています。そのため、「SFCでどんなことを学びたいか」という意識をしっかりと持ち、自ら未来を拓く力が求められます。
これまでの自分自身の生き方を総まとめし、今後どのようなテーマで問題を解決していきたいかを明確にして受験に立ち向かうことが大切でしょう。
■慶應義塾大学 文学部 自己推薦入試
*出願資格
全体の評定平均値が4.1以上あれば受験資格を得ることができます。4.1というのは決して低い数値ではありませんが、真面目に取り組んでいれば自己推薦の資格を得ることも夢ではありません。2017年度の一般入試の倍率は4.1に比べ、自己推薦の場合は2.7。難易度はかなり低くなるため、日常の学業にしっかりと取り組むことが大切です。
*スケジュール / ( )内は2017年度実績
1.出願2017年度実績
11月上旬(2016年11月1日~11月4日)
2.選考
11月下旬(2016年11月20日)
3.合格発表
11月下旬(2016年11月25日)
4.入学手続期間
12月上旬(2016年12月5日~12月9日)
*難易度(2017年度)
人文社会学科:約2.7倍
*傾向と対策
総合考査Ⅰにおいては小論文形式の試験(120分)が行われ、理解力、文章構成力、表現力、分析力などが評価されます。なお、英作文が含まれた設問が毎年出題されています。また、
総合考査Ⅱでは、与えられるテーマについて記述する自由形式の試験となっています。
このような総合考査において、文学的思考力をアピールできるよう日頃から深い知識と自分の考えを持ち、きちんと主張できる能力を養っておく必要があるでしょう。
■慶應義塾大学 看護医療学部 AO入試
*出願資格
看護学部では、人や社会のために活躍したいという強い気持ちをもつ人材が求められているので、意欲さえあれば誰でも出願できるよう幅広い広い要件が与えられています。
たとえば、看護・医療・福祉に関連した経験、ボランティアなどの成果を残していたり、コミュニケーション能力、コンピュータ技術などを持っていることをアピールしたりできれば誰でも出願資格を得ることができます。
ただし、一般入試の倍率が4.0であるのに対しAO入試は9.5倍。その難易度は倍以上にものぼります。そのため、自分が看護や医療を学ぶ者としてふさわしい人物であることをさまざまな活動を通して主張できるよう、日頃から積極的な行動を心がけましょう。
*スケジュール / ( )内は2017年度実績
1.出願2017年度実績
10月上旬(2016年10月5日~10月11日)
2.第1次選考合格発表
10月下旬(2016年10月24日)
3.第2次選考
10月下旬(2016年10月29日)
4.最終合格発表
10月下旬(2016年10月31日)
5.入学手続期間
12月上旬(2016年12月8日~12月14日)
*難易度
全学科:9.5倍
*傾向と対策
看護医療の先導者となるにふさわしい人材が求められているため、社会貢献などの実績を国や世界レベルで修めた人物が合格していますが、例外としてファッション雑誌のモデルが合格を手にしたこともあります。
上記のような実績があること、そして学力、人間性の全てにおいて秀でていることが合格の秘訣です。特に面接に備えて、将来医療従事者となった際の自分の価値についてしっかりと考えておきましょう。
■まとめ
「あこがれの慶応義塾大学で学びたい!」という方の受験のチャンスを広げるAO入試。書類選考、面接、グループディスカッションなど、クリアすべき条件は多々ありますが、自分の個性を最大限に出すことができれば、合格を勝ち取ることも可能です。
それぞれの学部の特徴を十分に研究し、各学部が求める学生像に近づけるよう、十分な対策を行いましょう。