日本大学豊山女子高校小論文講座を担当しました

代表の神崎です。

3/24(金)〜27(火)にかけて、東京・板橋の日本大学豊山女子高校で小論文講座を実施しました。

弊社では、高校への出張講義も実施しています。

私の小論文講座は、普通のものとはちょっと毛色が違います。

小論文を書かないんです。

正確に言えば、「いきなり」書きません。

小論文の答案を書くフェーズは、おおよそこんな流れかと思います。

  1. 問いを読む
  2. 問いに対する意見と理由を考える
  3. 段落構成を決める
  4. 答案用紙に書く
  5. 推敲する

この流れを汲むわけですが、乱暴な先生はいきなり「このテーマで書け!」と言って、いきなり4に飛んでしまうんですよね。

これじゃ、書き手は手を止めてしまいます。

だって、書くべきことを考えていないから。

それを「考えろ!」と乱暴に言われても、考えるコツがわかんないとねぇ…

つまり、考えていないから、考える方法がわからないから書けない。

ならば、考えることをしっかり訓練する小論文の講座があってもよいのではないかと思い立ち、3年前から実践し始めました。

今ではアクティブ・ラーニングやらPBLやらと流行っており、多分私の講義はそれらの一つになるのでしょうが、当人はあまり意識していません…

授業でやっていることは、おおよそこんな感じです。

流れは以下を基本にしています。

  1. アイスブレイク
  2. インプット(情報共有・スキル習得)
  3. テーマ発表
  4. 個人ワーク(意見・根拠の発散+優先順位付けによる収束)
  5. ピアワーク(意見と根拠の発表&ツッコミ)
  6. グループワーク(意見・根拠の共有+グルーピング+絞り込み)
  7. グループ発表
  8. 小論文執筆
  9. 振り返り

私の授業の基本はPBL(Project Baced Learning)です。

答えのない問いについて、グループで発散と収束を繰り返しながら、思考を深め、最適解(最善解)を決めていきます。

目的は「思考の見える化」です。

自分だけで鬱々と考えるよりも、友人の考えに耳を傾けていると新たな考えが浮かんだり、「これ違う!」と思う瞬間があったりと、色々と考えが思いつくものです。

それは、普段自分では見えない思考が見えるから、なんですよね。

また、「帰納法」「演繹法」「弁証法」と言われても、取り扱う当人たちは何が何やらわからないんですよね。

肝心なのは言葉でなくて、思考法そのものなので、グループワークを通して体で覚えてもらおうと思って実施しています。

思考が見えれば真似できます。

細かく言えば、グループワークの中で思考スキルをメタ化し自分の中に取り込んで、それを別の課題に活かすということを繰り返しやっていくということです。

ただ、グループワークだけだと受験対策やスキル習得の部分で不足することが多いので、個人ワーク・ピアワーク・集合授業を色々組み合わせています。

ちなみに、私が手渡すのは、赤と青の付箋と以下のものくらいです。

  1. ノートテイキング
  2. 発散・収束の方法
  3. 帰納・演繹・弁証
  4. 具体・抽象・メタ
  5. クリティカル・シンキング
  6. バックキャスト・フォアキャスト
  7. 段落構成の方法と表現のパターン
  8. 時間管理
  9. 課題に関する予備知識
  10. 設問の意図を汲み取る視点(問いを問う)
  11. 設問に寄り添う課題文およびデータの読み取り方

この授業、国語4技能を育成するプログラムなんです。

振り返りのときに、授業内容の可視化とルーブリックによる自己評価、次回に向けての目標設定(200字論述)をやっています。

他者の話を「聞き」、ノートテイキングを行い、課題文やデータを「読み」、発散と収束を繰り返して思考し、他者と「話し」ながら思考を深め、自分軸で答えを決め、「発表し」、論文で「書く」。

4技能全てをプログラムの中に落とし込み、足りない手法を適宜伝授する。

こんなやり方で講義をしています。

生徒さんの反応も上々。

「小論文って書くばかりだと思っていたけど、考えることがこんなに面白いとは思わなかった!」

「人生でもしっかり使えそうな力を身につけられた!」

こういう反応が嬉しくて、つい頑張ってしまいます。

なかには「私の父と話していることが被る」と言われたことも…光栄です。